7年かけて地球を旅するスロー・ジャーナリズム・プロジェクト「Out of Eden Walk」

old of eden walk

2013年から2020年までの7年間、ピューリッツァー賞受賞ジャーナリストであるPaul Salopek(ポール・サロペック)さんが、世界を歩いてストーリーを伝えるプロジェクト「Out of Eden Walk」を紹介します。情報のスピードが速い現代において、”スロー・ジャーナリズム”の価値を教えてくれるようなプロジェクトです。

ポールさんは人類が誕生した地・アフリカのエチオピアから旅を始め、人間の旅をなぞるように中東、アジア、北米、南米へと歩いて移動をしていきます。その距離33,000km。

旅の過程で彼は、気候変動やテクノロジーのイノベーション、移民問題から消滅しかねない文化の問題まで、現代の私たちが抱える大きなストーリーを伝えていきます。またこれまで伝えられてこなかったような人々の隠れたストーリーも、彼は探していくでしょう。先進国によって均一化しつつあるこのグローバル時代において、最も大事なナラティブ(物語)というのは、世界の端にあるのです。(Out of Eden Walk

プロジェクトはナイト財団やナショナルジオグラフィックによってサポートされており、2つのサイトで旅の様子がレポートされています。

outofedenwalk.com
outofedenwalk.nationalgeographic.com

 

ファースト・ジャーナリズムは情報を伝え、
スロー・ジャーナリズムは意味を伝える

ワシントンDCにあるジャーナリズム博物館「Newseum」で先週行われたイベントに、ポールさんはグルジアからスカイプで参加。参加者たちと、”スロー・ジャーナリズム”について話しました。

スロー・ジャーナリズムを行うことで僕は、速く旅をしていたら見逃してしまうような(物語と物語の)隠れたつながりを見つけることができました。この複雑な世界で、僕たちには短い情報以上のものが求められているのです。

とポールさんは言います。他にも、

スロー・ジャーナリズムとは、物語に深く入り込んで伝えること
このプロジェクトの目的のひとつは、現在の世界でスロー・ジャーナリズムがいかに重要なストーリーを紡ぎ出せるかを示すこと
スロー・ジャーナリズムには最新の道具やテクノロジーが必要。この2つは矛盾するものではない
ファースト・ジャーナリズムは情報を伝え、スロー・ジャーナリズムは意味を伝える

といった言葉が印象的でした。

また、多くのニュースルームはおそらく「スロー・ジャーナリズムを行う余裕なんてない」と考えがちですが、「いま知らなくてはいけないことと長期的に追っていきたいストーリーのバランスをとることがポイント」とも語られていました。

 
情報のスピードが速くなり短い情報が溢れるなか、意味のある、深く掘り下げたストーリーが求められているように思います。

歴史とコンテクストがわかる”解説”ニュースアプリ「Timeline」
読者とともにスロージャーナリズムをつくる「Very Best of Us」
情報のスピードが速い今こそ、”スローニュース”が必要?

「Out of Eden Walk」は極端な例ですが、たとえ旅に出なくとも、スロー・ジャーナリズムを行うことはできるはず。ストーリーを語ることのできるメディアが増え、同時に読者も、質の高い情報に目を向けるよう成熟していかなければいけないのだと思っています。

(via Out of Eden Walk, National Geographic

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