モデレーション、ベリフィケーション、アノテーション:コメント欄の3種の取り組み

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メディアのコメント欄は、かつてのように記事の終わりにおまけのように付いているものではありません。議論を活性化し、コミュニティをつくるものとして各メディアはコメント欄を進化させ、ときにはコメント欄がそのメディアの特徴にもなっています。たとえばコメントの管理を徹底的に行うハフィントン・ポストや、有識者による良質なコメントが集まるニュースアプリNewsPicksは、そのコメント欄が評価されていると思います。

今回は、各メディアのコメント欄における取り組みを3つのジャンルに分けて紹介します。

 

モデレーション(適切にすること)

“Moderation”とは、不適切なコメントを除き、健全なコメント欄をつくること。

そのような議論を活性化させるためのコメント欄づくりに、いち早く取り組んできたのがハフィントン・ポストでしょう。「JuLiA(Just a Linguistic Algorithm)」という人工知能解析エンジンが自動的に不適切なコメントを除いたり人気のコメントを強調したりするほか、人力でもコメント欄を管理しているとのこと(LuLiAは日本版ローンチ時には日本語対応はしていなかったと聞きましたが、現在はどうなのでしょう?)。またアカウントをfacebookと連携することで、読者に原則実名でコメントすることを求めています

ちなみに今やモデレーションを行っているのはハフィントン・ポストだけでなく、BuzzFeedやQuartzでも編集部がコメント欄をチェックして、不適切なものは削除しているそう。BuzzFeedには「ヘイトスピーチや個人への攻撃を禁止する厳しいポリシーがある」と、コミュニティエディターのCates Holderness(ケイツ・ホルダーネス)さんは言います。

 

ベリフィケーション(検証)

不適切なコメントを除くだけでなく、良質なコメントを集めたり強調したりするのが”Verification”。有識者や専門家の良質なコメントを集めるNewsPicksの取り組みは、このベリフィケーションに分類できるかと思います。

ベリフィケーションの他の例として、NYTの「Verified Commenter」があります。これは良質なコメントをすることが認められた読者のこと。Verified Commenterはアルゴリズムによって分析された過去のコメントをもとに選ばれ、現在は480人ほどいるそう。Verified Commenterになると名前の横に緑のチェックマークが付き、このマークがあることで「この人の言っていることは信用できるな」と一目でわかるのです。

また読者はコメントを”recommend”することができ、多くのrecommendを集めたコメントは「Reader’s Picks」というセクションで上位に表示される仕組みもあります。

NYT commentNYTより。Clyde Wynantさんは緑のチェックマークが付いたVerified Commenter。

ちなみにNYTは、今年1月に行ったウェブサイトのリニューアルで、コメント欄を記事と並行して表示できるようにしています。読者のコメントは記事の最後にくっついているおまけではない、という姿勢がここからもわかります。

NYTがウェブサイトをリニューアル:時代に追いついたオンライン新聞

nyt comment

 

アノテーション(注釈)

2013年8月にQuartzが始めたコメントシステムは、”Annotation“と呼ばれています。記事内の特定の場所を指定して、ワードの校正機能のようにページの余白部分にコメントを書き込めるものです。

今のところQuartzでこのアノテーションはあまり使われていないようですが、Quartzのシニアエディター Zach Seward(ザック・スワード)さんはこう言います。

コメントの数というのは重要じゃないんです。おそらく誰もがたくさんのコメントが付いた記事を見たことがあると思いますが、そういうときにどこから読めばいいのかわからないですよね。到底すべてに目を通すことは不可能です。

たしかにアノテーションでなら、自分が気になった部分や疑問を持った部分についたコメントを選んで読むことができますね。アノテーションの他の例としては、Mediumの「notes」が挙げられます。

medium notesMediumより

 
モデレーション、ベリフィケーション、アノテーションと、3つの横文字の言葉を使ってコメント欄の取り組みを紹介しました。

読者に議論に参加してもらい、コミュニティをつくるために大切なコメント欄ですが、まだまだ実験は始まったばかりという気がします。今回紹介したものの他に、どんなコメント欄があればいいと思いますか?

(via American Journalism Review

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